学びの日記

日々の勉強記録

気象学 | 地球型惑星の大気

気象予報士試験のテキストを使い、気象学を勉強。本日は、地球型惑星の大気。だいたい高校地学のレベル。

地球以外の惑星たちの大気

水星:太陽の太陽風で吹き飛ばされ、ほとんど大気なし。

金星:CO2の厚い大気&温室効果で地表付近は約90気圧・約720K。

火星:CO2が主成分だが、太陽からの放射強度がそもそも弱い&気圧も約6hPaと薄いので金星のようにはならなかった。昼夜の温度差が大きい。

地球の大気

地球は海や生物がなければ金星のようになっていたかもしれないが、次のような歴史で(人間にとっては快適な?)現在の環境になっている。

一次大気:H, He主体。太陽風で吹き飛んだ。

二次大気:CO2, N2主体。火山噴火でH2O, CO2, N2が放出され、H2Oはやがて雨となって海をつくった。その海には同じく火山噴火で噴出した塩化物や硫化物がとけ酸性となった→溶けきれないCO2,N2が残った。

その後、塩化物や硫化物は岩石からとけたアルカリ性の金属イオンと反応して中和された→CO2が溶け込み始め、海中ではカルシウムと反応し石灰岩として固定され、N2が残った。

最後に、植物の光合成で酸素が大量に作られ大気中に放出された。酸素が上空でオゾン層を作り紫外線を遮ったために、植物が陸上にも進出してますます増えた。

 

 

テンソル #4

前回はテンソル代数を導入したが、「ベクトル解析と多様体」を教科書に変えて引き続き学習。

より一般に、R,V,V*からテンソル積を作って得られる空間をV上のテンソルという。前回と比べるとV*が新たに加わっているが、例えばVV*というようなテンソル積を考えるということであり、Vの元xとV*の元aを引数にとる双線形関数f(x,a)→Rを考えるということである。

このとき、VV*V*Vというふうな同型対応で同一視するならば*1、Vをp個、V*をq個組み合わせたテンソル空間は、V…⊗VV*⊗…⊗V*と同型になるので、Vの数とV*の数だけで特定できる。この元を(p,q)テンソル、もっと詳しく言うとp階反変q階共変テンソルという。

共変とは通常の(Vの)ベクトルと座標変換に従い、反変とはVのベクトルとは逆の(=基底の変換と同じ)座標変換に従うという意味。例えばV上のベクトルは1階反変テンソル、V上のベクトルの双線形関数は2階共変テンソルである。単なる数は(0,0)テンソルで、物理界隈ではスカラーということが多い。 

 

 

 

*1:物理学への応用上、ここの同一視をしてテンソルを扱ってきた歴史がある。

免疫学 | 免疫

免疫学を復習。

ウイルスの病原性

まず、、ウイルスがなぜ病原性を持つか。端的に言うと、そもそもウイルスというのは人様の細胞の機能を使い自分自身のコピーを作らせたうえ、その細胞を破壊してコピーをまき散らして回るやっかいな存在である。自身の遺伝子を包むタンパク質の殻など必要最小限の構造しかない。

ウイルスは入り込む細胞を識別するのに、その細胞の(本来別の目的で用意されている)受容体に結合する。ちなみに今回の新型コロナウイルスは全身の細胞に大体あるACE2という受容体に結合するのでますますやっかいである。ACE2の発現量の多い糖尿病患者などでは重症化することが分かっている。

このように、ウイルスが入り口として標的を定める受容体を持つ細胞の違いで、病原性が変わってくる。HIVはターゲットはCD4という受容体で、これを持つのが免疫細胞であるヘルパーT細胞だから免疫系がやられてしまう、ということ。

免疫

免疫の基本的な作戦は病原体自身を食べてしまうことと、病原体が細胞の受容体に結合する部分にキャップをしてしまうことである。

まず体内に入ってきた異物はマクロファージが貪食して、その断片をヘルパーT細胞に提示する。ヘルパーT細胞はサイトカインを放出し、マクロファージを活性化させるとともに、キラーT細胞に攻撃を指示する。こうして働くのが細胞性免疫である。

しかしこれにとどまらないのが免疫機構の優秀なところ。異物をとりこみヘルパーT細胞に断片を提示するもうひとつの存在としてB細胞がある。各B細胞はそれぞれ異なる種類のB細胞受容体(抗体)をもち、その種類はきわめて膨大である。これらのどれかがちょうど入ってきた異物(抗原)と結合する。ヘルパーT細胞はB細胞から提示を受けると同様にサイトカインを放出しB細胞に抗体産生を指示、増殖したB細胞は抗体を放出する。

抗体は次の3種類の効果により抗原の病原性を失わせる。

  • 中和 … 抗原の結合部位に抗体がとりついて細胞に結合できなくして、感染能力を失わせる。
  • オプソニン … 抗体が抗原につくことでマクロファージなどに見つけられやすくする。
  • 補体 … 抗原を攻撃する補体と呼ばれるタンパク質を誘導する。

このようなB細胞と抗体による免疫を液性免疫という。

抗原がなくなっても、このとき活躍したB細胞の一部はモリーB細胞としてリンパ節などにずっと残り、次に同じ抗原が侵入してきたときにはより速く抗体を放出する。いわゆる「免疫がついた」というのはこのことである。 

 

テンソル #3

前回は双線形関数を定義した。今日は多重線形代数テンソル代数。

前回の定義を一般化して、V*×…×V*上で定義された線形性をもつ関数をk重線形関数という。そしてそれは同様にベクトル空間をなす。k重線形関数全体の作るベクトル空間をk-テンソル空間という。

Vの任意の2元をとるとそれによりテンソル積が構成でき、それは2-テンソル空間の元である。この2元によりV*の2元を変数とする双線形関数が定義できるということ。n-テンソル空間の元と、m-テンソル空間の元のテンソル積はn+m-テンソル空間となる。

このテンソル積で閉じるような、1-テンソル空間、2-テンソル空間、…の直和からなる集合は代数的には多元環をなしていて、これをテンソル代数という。ただこの空間は基底が無限個あり使い勝手が悪いので、任意の元ができてかつ基底が有限個であるような空間があるとよい。

ということで次回は外積代数…にしたいところだが、テンソル解析もちょっとやっておきたいので次回はより応用側の成分ベースの計算やテンソル解析の方向を勉強する。

デルタ株、ラムダ株

デルタ株やラムダ株とは何者か?元のウイルスからどう変異しているのか?

新型コロナウイルスのゲノム

新型コロナウイルスは正式にはSARS-Cov-2とよばれるRNAウイルスで、ゲノムサイズは29903塩基。配列情報は各種DBで参照できる。DDBJはこちら↓

getentry.ddbj.nig.ac.jp

このうち、21563~25384番の部分が感染性の鍵になるスパイクタンパクに対応する領域で、アミノ酸長でいえば1273個となる。

MFVFLVLLPLVSSQCVNLTTRTQLPPAYTNSFTRGVYYPDKVFRSSVLHS
TQDLFLPFFSNVTWFHAIHVSGTNGTKRFDNPVLPFNDGVYFASTEKSNI
IRGWIFGTTLDSKTQSLLIVNNATNVVIKVCEFQFCNDPFLGVYYHKNNK
SWMESEFRVYSSANNCTFEYVSQPFLMDLEGKQGNFKNLREFVFKNIDGY
FKIYSKHTPINLVRDLPQGFSALEPLVDLPIGINITRFQTLLALHRSYLT
PGDSSSGWTAGAAAYYVGYLQPRTFLLKYNENGTITDAVDCALDPLSETK
CTLKSFTVEKGIYQTSNFRVQPTESIVRFPNITNLCPFGEVFNATRFASV
YAWNRKRISNCVADYSVLYNSASFSTFKCYGVSPTKLNDLCFTNVYADSF
VIRGDEVRQIAPGQTGKIADYNYKLPDDFTGCVIAWNSNNLDSKVGGNYN
YLYRLFRKSNLKPFERDISTEIYQAGSTPCNGVEGFNCYFPLQSYGFQPT
NGVGYQPYRVVVLSFELLHAPATVCGPKKSTNLVKNKCVNFNFNGLTGTG
VLTESNKKFLPFQQFGRDIADTTDAVRDPQTLEILDITPCSFGGVSVITP
GTNTSNQVAVLYQDVNCTEVPVAIHADQLTPTWRVYSTGSNVFQTRAGCL
IGAEHVNNSYECDIPIGAGICASYQTQTNSPRRARSVASQSIIAYTMSLG
AENSVAYSNNSIAIPTNFTISVTTEILPVSMTKTSVDCTMYICGDSTECS
NLLLQYGSFCTQLNRALTGIAVEQDKNTQEVFAQVKQIYKTPPIKDFGGF
NFSQILPDPSKPSKRSFIEDLLFNKVTLADAGFIKQYGDCLGDIAARDLI
CAQKFNGLTVLPPLLTDEMIAQYTSALLAGTITSGWTFGAGAALQIPFAM
QMAYRFNGIGVTQNVLYENQKLIANQFNSAIGKIQDSLSSTASALGKLQD
VVNQNAQALNTLVKQLSSNFGAISSVLNDILSRLDKVEAEVQIDRLITGR
LQSLQTYVTQQLIRAAEIRASANLAATKMSECVLGQSKRVDFCGKGYHLM
SFPQSAPHGVVFLHVTYVPAQEKNFTTAPAICHDGKAHFPREGVFVSNGT
HWFVTQRNFYEPQIITTDNTFVSGNCDVVIGIVNNTVYDPLQPELDSFKE
ELDKYFKNHTSPDVDLGDISGINASVVNIQKEIDRLNEVAKNLNESLIDL
QELGKYEQYIKWPWYIWLGFIAGLIAIVMVTIMLCCMTSCCSCLKGCCSC
GSCCKFDEDDSEPVLKGVKLHYT

様々な変異によりいろいろな位置のアミノ酸が別のものに置き換わっているが、そのなかでも452番目のL(赤字、ロイシン)が割と肝のようで、デルタ株ではこれがR(アルギニン)に変異している。またラムダ株はこれがQ(グルタミン)に変異している(L452R、L452Qとよばれているのがこれである)。このほかにも何カ所かで変異があるものがある。

ワクチンのmRNA塩基配列

こうなると、モデルナやファイザーのワクチンのmRNA塩基配列が気になってくるが、いずれのワクチンも塩基配列が公開されている。構造上の理由で変異を加えている以外はオリジナルの配列のようだ(そりゃそうか)。

モデルナ

github.com

ファイザー

berthub.eu

テンソル #2

前回の続き。今回は双線形関数。

前回は(V*)*とVの間に同型対応があるからVと同一視する、というお話だった。次にV*×V*という直積集合を考え、この元からRへの関数(つまり2変数の関数)を考える。この2つの変数それぞれに対して線形関数である場合、この関数は双線形関数であるという。

双線形関数の和やスカラー倍も双線形関数だから、双線形関数全体はベクトル空間をなしている。V*上の線形関数全体のベクトル空間をVと同一視したように、V*上の双線形関数全体のベクトル空間をV⊗Vと表し、Vのテンソルという。

Vの基底を{e_i}とすると、{e_i⊗e_j}がV⊗Vの基底になる。このときV⊗Vの元はij個の成分で表される。

次回は、多重線形代数。今日のお話を一般化する。

Haskell #1

Haskellの学習続き。今日は型。

Haskellではすべてのものが型を持っている。関数も型を持っていて、例えば引数の型がA、戻り値の型がBだったら、[A]->[B]という型をもつ。複数の引数A1,A2を持つ場合は[A1]->[A2]->[B]という型をもつ。なんで([A1],[A2])->[B]みたいな型じゃないのかという疑問が湧くがそれは今後明らかになる。

Haskellでは自分で型を作ることができる。さらに、Javaのインターフェースを思い起こさせるような概念として型クラスがある。型クラスとは、型がある振る舞いをすることを定義したものである。実例をあげると、Eq型クラスは「等しいか判定できる」ことを示すもので、メソッドとして例えば「==」をもっている。演算子(関数)==の型は、`(==):(Eq a)=>[a]->[a]->[Bool]`となっていて、2つの型aの引数の型がEq型クラスのインスタンスでないといけないことを示す。こんな風にして関数の形で型の振る舞いを決めることができる。

ひとつの型はいくつもの型クラスのインスタンスになれる。

次章は関数なのだがこれは散々以前やったので飛ばし、次回は第5章「高階関数」をやることにする。