学びの日記

日々の勉強記録

探索アルゴリズム

探索問題

スタート地点からゴール地点までの経路を探索するような問題は探索問題と呼ばれている。解法を単純に考えると端からくまなく調べていくことになるが、いけるところまで深く進んで、だめなら少し戻って…を繰り返す深さ優先探索と、今いる場所から進める方向すべてに一歩だけ試す幅優先探索がある。

筋がいい?のは幅優先探索のほうであるが、これも結局なめて回る以上深くなるほど指数関数的に調べる経路が増えてしまう。そこで、今いる場所、一歩進んだ場所の良さ加減がわかる評価関数があると、ゴールに近そうな一歩を踏み出せるため効率が上がる。このような関数で評価しながら進む幅優先探索最良優先探索という。

最短経路問題

例えば、スタート地点からゴール地点までの距離を最短にする経路を見つける問題を考える。これは一般には最短経路問題とよばれるが、このとき、評価関数としてスタート地点からその場所までの距離(コスト関数)をとる方法がダイクストラで、最短経路問題の基本アルゴリズムである。この改良版として、ゴールまでの近さ加減を何らかの関数(ヒューリスティック関数という)で表しコスト関数に加えたものを評価関数にする方法がA*アルゴリズムである。

次回

将棋や囲碁などのゲームの場合は相手がいたりしてもう少し込み入った話になる。次回はそのあたりを勉強したい。

簿記

簿記を復習。いろんな場面で基礎知識が求められることが多いので、改めて簿記3級のレベルから、基本的な考え方をまとめる。

簿記

取引を帳簿に記録してお金の出入りを管理する活動が簿記である。

家計簿やお小遣い帳では、普通何を払った・得たかだけを書いていくが、これだけだとどこからお金を調達したのかという情報がない。これだと企業の管理上は不足しているので、企業では常に「何を」「どこから」という情報を対にして書く複式簿記というやりかたをとる。例えば商品を仕入れて現金で100円支払った場合は次のように書く。

商品 100 現金 100

借方と貸方

対にして書くときに、左側はお金の使い道にあたる側で借方(英語ではdebit)という。一方、右側はお金の出元にあたる側で貸方(英語ではcredit)という。福沢諭吉の訳語だそうだが今後いろいろ混乱の元になるのでなぜそんな名前なのかは考えず左右を表すラベル名だと思えばよい。

勘定科目

出入りするものやお金の名目(分類)を勘定科目という。上記の例の「商品」や「現金」が勘定科目である。勘定科目は5つのグループのどれかに属する。

このうち、お金の使い道に関するグループ(増えたら借方に書かれる)は次の2つ。

  • 資産:将来の収益を生み出すためのもの。建物など。
  • 費用:今期、収益を生むために使ったもの。広告宣伝費など。

それに対し、お金の出元に関するグループ(増えたら貸方に書かれる)は3つある。

  • 資本純資産):もともと持っていた自分のお金。
  • 負債:借りたお金。
  • 収益:今期、商売で得たお金。

このうち、費用と収益はとくに「今期」を意識するもので、後々、今期の出入りをまとめる損益計算書につながる。

次回以降は、日々の取引の記録(仕訳)の例を見ていくことにする。

 

 

気象学 | 水・二酸化炭素の循環

引き続き気象学。ほぼこれも高校地学相当。

水の循環

海の水は蒸発して雲になり、雨や雪として降り、川として流れ、海に戻る。このように水はたえず循環している。地球上のすべての水のうち、海洋の水が97%を占めていて、大気中の水蒸気量はわずか0.001%である。蒸発量/海洋の水量を考えると、理論上はだいたい3200年で海水が入れ替わることになる。また、降水量/大気中の水蒸気量を考えると、だいたい10日で大気中の水蒸気は入れ替わることになる。

二酸化炭素の循環

大気中の二酸化炭素濃度は増加しているが、細かく見ると夏に下がり、冬に上がる。これは夏に植物が活発に光合成を行うからである。この季節変化は、植物の多い中緯度でもっとも大きい。

二酸化炭素の排出要因は、大きい順に、海面表層、土壌、陸上生態系、化石燃料消費となっている。一番大きいのが化石燃料消費、ではない。化石燃料消費がなければ吸収要因(光合成と海面表層の溶け込み)とバランスしていて、プラスαの化石燃料消費が増加に寄与しているから目立って見えるというわけである*1

なお海面表層の二酸化炭素の溶け込みは、海水温度が低いほど小さくなる*2

次は気象学の肝?かもしれない水の物理化学的な話。

*1:と考えると、長い目で見れば吸収要因とバランスするだけで時定数の違いが見えているだけな気もする

*2:つまり二酸化炭素の上昇はどこかで正のフィードバックを生んで暴走するということか

Haskell | カリー化

Haskellのカリー化の勉強。

Haskellでn個の引数をとる関数にみえたものは、内部的には1つの引数をとる関数をn個適用した構造になっている。このように1つの引数の関数をネストさせることをカリー化という。

例えばxとyをたした結果を返す関数 add x y = x + y を考える。普通はadd 2 3と適用すると5が返る。実はこの関数はいわば内部的には (add x) y という形をしている。だから、add 2 3は、まず「2に与えられた数を足す関数」が返却され*1、それに3が適用されているという振る舞いになる。

このようにカリー化されているので、複数の引数を持つ関数に部分的に引数を与えて関数を取り出すことができる。これを部分適用という。

add 1はaddの部分適用だが、想像されるように連続して適用すれば次々と1を足せる。((add 1)((add 1) 2)は4である。部分適用したものを関数として取り出して使えるので、例えば map (add 1)[0,1,2]とか使える。結果は[1,2,3]である。

なかなか強力。次は、関数周りのそれ以外のネタ(ラムダ式、$、合成など)を勉強する予定。

*1:このように関数を返す関数を高階関数という

気象学 | 大気の鉛直構造

引き続き、大気の鉛直構造について。

大気は温度変化の極大・極小となる高度を基準に4層に分けられる。めちゃくちゃざっくりいうと次のようになる。いろいろ端折ったものの、成層圏はなかなか複雑。

対流圏

地表は太陽で暖められるので、上空ほど気温は低い。大気は鉛直方向も水平方向も運動がさかんで、気象現象の舞台は基本ここである。水蒸気も多く、気温の高い夏には大雨が降る。

高度5km上がるごとに気圧が半分になる。ということからすると、大気の半分は5kmにあり、大気の8割が対流圏にあるという計算になる。成層圏との境界である対流圏界面は、気温の高い低緯度ほど高く、気温の低い高緯度ほど低いが、その間で所々不連続になっている。

成層圏

オゾンが紫外線を吸収して発熱するため、上空ほど気温が高い。ピークはオゾン濃度最大の高度よりも上だが、上ほど密度が小さく熱容量も小さくて暖まりやすいからである。

南北にわたる大きな循環(ブリュワードブソン循環)があり、オゾンもこれにのって循環しているが、特に9-10月の極域には低気圧性の極渦ができ、そのまわりを極夜ジェットが吹くので内部にオゾンが入れずオゾン密度の小さい「穴」ができる。これがオゾンホールである*1

ほか、いろんな成層圏特有の現象がある。

中間圏

中間圏は再び上空ほど低温になる。ただ気温減率が小さいので活発な鉛直運動はない。下部の影響から、気温は夏ほど低い。対流圏からここまでは比較的大気の大規模運動がさかんなのでよく攪拌されて化学組成は一定になっている。

熱圏

ここではもはや空気密度は非常に小さく、分子も太陽により電離する。これにより4層からなる電離層が存在している。オーロラが生じるのもこの層。気温や電離密度はそういうわけで太陽の影響を強く受け、昼夜で温度差が数百度にもなる。

*1:オゾンホールの機構はいろいろ複雑なので別で改めて学ぶ

福島第一原発の廃炉

福島原発の処理水放出を巡る風評被害の対応についての記事。いま、事故の後処理はどんな状況で、今後どう進むのだろうと気になったのでまとめてみる。

www3.nhk.or.jp

福島第一原発の現状は?

東電のページがよくまとまっているので改めて書く必要がないくらいだが、以下の状況のようだ。

  • 1号機:燃料取り出しに向けがれきの撤去中。
  • 2号機:燃料取り出しの足場作成検討中。
  • 3号機:燃料取り出し中
  • 4号機:燃料取り出し済

www.tepco.co.jp

今後の廃炉の行程?

廃炉は次のステップで行われる。

第1期:~燃料取り出し着手 → 完了

第2期:~燃料デブリ取り出し着手 ← いまここ

・燃料取りだし:2031年度完了予定

 ・2号機燃料取り出し開始:2024-2025年度予定

 ・1号機燃料取り出し開始:2027-2028年度予定

第3期:~廃止措置終了:2040~2050頃

参考:東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ (案)

https://www.tepco.co.jp/decommission/information/committee/roadmap/pdf/2019/t191227_04-j.pdf

 

全国のほかの原発の状況は?

現在稼働しているのは以下の原発である。

参考:Wikipedia

ja.wikipedia.org

今後のエネルギー政策における原子力発電の位置づけ?

エネルギー基本計画では「安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけており、安全性確保のもと「原子力発電所の再稼働を進める」としている。

2030年時点で目標とするエネルギーミックスでは原発:20~22%を想定している。

第5次エネルギー基本計画(平成30年)

https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/180703.pdf

第6次エネルギー基本計画素案(令和3年)

https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2021/046/046_004.pdf

 

免疫学 | アレルギー

前回は免疫全体のざっくりした話だったが、今回はアレルギーについて。

ヘルパーT細胞とアレルギー

前回登場した、免疫反応の司令塔となるヘルパーT細胞にはTh1Th2の2種類がある。またB細胞が作る抗体にも、IgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類がある(Igというのは抗体の正式名称である免疫グロブリンのこと)。Th1はインターフェロンガンマを放出しB細胞にIgGを作らせ、Th2はインターロイキン4を放出しIgEを作らせる。

Th1とTh2の活動は競合的で、何らかの事情でこのTh2の活動とそれに伴うIgEの産生が優位になってしまったときにアレルギー*1を起こす。

アレルギー反応

IgEがB細胞から放出されるとこれをマスト細胞が受け取る。次にマスト細胞が抗原に出会ったとき、ヒスタミンなどの化学伝達物質を放出する。このヒスタミンがさまざまな細胞に結合しアレルギー反応を起こす。抗ヒスタミン薬は、細胞のヒスタミン受容体をふさいでヒスタミンのはたらきを抑えるものである。マスト細胞はまたインターロイキン4も放出し、IgEの産生をさらに促し、アレルギーは長期化する。

アレルギー反応が生じる人は、ヘルパーT細胞の過剰な働きを抑制するサプレッサーT細胞の働きが弱いためともいわれている。

次回はサイトカインストームについて。

*1:アレルギーにもI型~IV型という4種類があり、ここでいうアレルギーはIgEが関与する最も一般的なI型アレルギーである