学びの日記

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国家緊急権

ロックダウンの議論の機運が高まりつつある。ロックダウンに国家緊急権が必要なのか?諸外国はどうしているのか?

国家緊急権

戦争や災害などの非常事態において国家を維持するために、国家が憲法を一時停止し非常措置をとる権限。濫用の懸念を考えると、またそもそも「事実あるいは政治の問題」であることからしても、自然権としては認められない(芦部)。そこで、このような例外的権力を要件を含め実定化している国がある。

日本国憲法には規定はない。

各国のロックダウン

イギリス明文的な国家緊急権の規定はないが、コモン・ロー上でマーシャル・ルールとよばれる非常時の通常法停止の法理が認められている。今回イギリスではマーシャル・ルールの発動ではなく、1984年公衆衛生法の枠内でのロックダウンが行われている。

参考:英国における緊急事態法制と軍隊の国内動員 - 防衛研究所

アメリカでも明文の国家緊急権の規定はない。トランプ大統領は国家非常事態を宣言しているが法的根拠は曖昧という(下記出典参照)。実際の制限は、州の権限で行われている。

一方で大陸法系では憲法に国家緊急権を定める国が多い。ただし、今回ドイツ、フランスは、通常の法で対応している(ドイツは「感染保護法」、フランスは「衛生緊急事態法」)。イタリア、スペインは国家緊急権で対応している。

www.yomiuri.co.jp

www.nikkei.com

参考

 

 「憲法上の国家緊急権 概説」

https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_999552_po_20030104.pdf?contentNo=4