学びの日記

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発震機構解

8月14日、ハイチでMw7.2の地震が発生し、大きな被害が懸念されている。ハイチ周辺はカリブプレートと北米境界が衝突する地域。震源15.5kmと浅いことから、2010年の地震と同様、いわゆる直下型地震の可能性が高そう。

USGSによる発震機構解などの詳しい情報は次のURLを参照のこと。

https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us6000f65h/executive

ここでは、USGS気象庁が発表する発震機構解の読み取り方をまとめてみる。

震源球の読み方

地震のメカニズムをざっくり知るには、発震機構解を図示した震源球を見るのが早い。これは、震源を中心とする球の下半分を上から見たものである。今回のハイチ地震では次の通り。

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出典:https://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/us6000f65h/moment-tensor

2本の黒曲線で表されているのが節面(Nodal Plane)でこのうちのどちらかが断層面である。どちらかは図だけではわからず、余震分布など追加の情報から特定する。

2本の曲線により分けられた4つの領域のうち、無色の領域が「引き」(=外から押される、主圧力軸(P軸)のある方向)、有色が「押し」(=外に引っ張られる、主張力軸(T軸))に対応する。図上のP,Tという文字は、P/Tの各軸方向を示している。

断層のずれのタイプ(正断層型、逆断層型、横ずれ断層型)もこの図から読み取ることができる。ざっくりいうと、

  • 交点が中心に近いほど、横ずれ断層型
  • 交点が倒れているとき、引き(無色、P)が上なら正断層型
  • 交点が倒れているとき、押し(有色、T)が上なら逆断層型

となる。

今回の場合、USGSの解析では、東西方向の節面が実際の断層面であり、東西の走向、北に50度ほどの傾斜を持つ面を、30度ほど上の方向に左横ずれしている。

断層の方向と滑り方を詳しく知る

断層面とすべり方向を知るには断層パラメータを見る。ざっくりいうと走向と傾斜で節面の空間的な配置がわかり、すべり角でどの方向に滑ったかがわかる。

  • 走向(Strike):北から時計回りに測った角度。
  • 傾斜(Dip):水平面から下向きに測った角度。
  • すべり角(Rake):走向方向の水平から反時計回りに測った角度。

参考

www.data.jma.go.jp

www.hinet.bosai.go.jp